タカマノブオ「鈴木オート」(2009年)
H340 × W570 × D470mm
※映画「ALWAYS 三丁目の夕日」の舞台を
 作品化したものです。
想像したことはないだろうか? もしも、大好きなドラマや映画、アニメのなかに、自分も入っていけたら、と。もちろん現実には不可能だが、立体間取りアーティストのタカマノブオはあきらめなかった。
「映像に出てくる主人公の家の断片を徹底して集めることで、本物に限りなく近い住宅模型は作れるのではないか」「その完成模型の窓から内 部の住空間を覗き込んだ時、人はあたかも登場人物の一人にでもなっ たかのような擬似体験ができるのではないか」「その時、人は物語のなかへ、もっともっと入り込めるのではないか」と。
徹底的にリサーチし、推理を重ね、想像を巡らせて作り上げた 1/40 スケールの立体間取りアート。タカマ作品の魅力は、主人公たちがその家で行っていた「日々の生活」が浮かび上がってくることにある。
作品「鈴木オート」の
全景(左)と立体間取りの内観(右)
※タカマ作品は屋根や2階部分が取り外せるようになっている。
作品「鈴木オート」は、タカマが取り組んできた住宅模型という分野に風化や汚れ、生活感などを初めて取り入れた作品。
製作にあたっては、まず映画 セットの間取りの解明から取り組み、公式ホームページ画像やDVD作品を 100 回以上鑑賞して、細部までとことん忠実に再現したという。また、映画作品に映っていない箇所は、実際に映画にエキストラ出演された方からの情報を参考にし たそうだ。室内の小物、整備工場の雰囲気等、古き良き時代の「昭和」を楽しみながら作り上げた思い出深い作品だともいう。
タカマノブオ「石の家」(2010 年)
H320 × W620 × D570mm
※「北の国から」のドラマをもとに、
 個人で制作したものです。
この作品も1/40スケールで、写真はタカマ自身によるものだ。 TVドラマの中での石の家は、畑から出た石と廃材だけで建てたという設定。「ならば模型だって同じ工程で作らないと本物に近づかない」と考え、実物と同じように本物の小石を隙間なく積み上げて制作したという。また、テラスの適度に曲がった流木は、自宅の玄関前に生えていたハナミズキの根っこを半年かけて乾燥させたものだ。
そしてタカマ作品のもう一つの魅力が、楽しい「仕掛け」を随所に施していることにある。この作品では仕掛けが盛りだくさんで、ボタンを押すと井戸汲みの風車がゆっくり回ったり、お風呂の焚き口や室内にある暖炉の炎がメラメラと光ったり、羊が鳴いたりして、思い出のドラマの1シーンをより強く想起させる仕掛けにもなっている。
タカマは「常に見る人に驚きを与え、喜んでほしい」という。すべて のタカマ作品のベースにあるのは、題材にした作品への深い敬意と愛情、そして見る者に対する飽くなきサービス精神だ。


立体間取りアーティスト

小学校の授業で製作した「箱庭」の世界に魅了され、身の回りにあった材料でペーパークラフトハウスを作り始める。
1988 年頃から余暇を利用して本格的に住宅模型の創作活 動を開始。以後、独学で製作技法を考案し、屋根脱着式の間取り併用住宅模型を製作し、限りなく本物に近い表現技法を追求。2003 年、サザエさんの「磯野家」の製作をきっかけに、アニメや映画、TVドラマに登場する主人公たちの住まいの研究を開始。数々のワンシーンをつなぎ合わせ、間取りを「推理・想像・観察」しながら作品を製作中。

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 タカさんの箱庭ギャラリー「モケイの住宅展示場」

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